与えられた使命
お父様の死後、お母様は有り余る権力に酔いしれておかしくなってしまわれた。ブロック外に出かけては道行く人を次々と処刑台に送り込み、泣き叫びながら死んでいく様を喜々としてリーチェに見せつけた。これも全てA地区貴族としての権力があるからこそ出来る所業なのだと。
処刑理由なんて何でもいいの。目の前を横切ったから、鼻歌が癇に障ったから、綺麗な耳飾りをしていたから。お母様の目についた人間は、次々と処刑台に送られていった。いつしかお母様は「処刑台の女王サマ」だなんて呼ばれるようになっていた。
もうこんなことやめて欲しくて、優しいお母様との思い出を汚してほしくなくて。喚き散らすお母様だった女の頸にかけた腕に、水に融けた腕に力を込める。魂が抜けてくたりと力を失った身体を横にして、あらかじめ用意していた天井からぶら下げた縄を自分の首にかけて、台にしていた椅子を蹴り飛ばす。
絞まると思われた首はそのままに、ずるっと落ちる感覚。床に身体を叩きつけられて、ようやく思い知る。
リーチェは自分の意思で死んではいけないのね、神様。
クラリーチェの自殺未遂